2001(平成13年)・秋
     



 ビート収穫のトラクターが移動する中、悠然と採食を続けるオオヒシクイの群れ


 広い十勝の大空に舞うオオヒシクイいつまでもこの光景が見られますように
 





11月3日〜11月4日

                 今回は、往復340kmある静内町〜浦幌町間を二日間、往復した。残念な
               がら大空を群遊するオオヒシクイの群れは少なく、シーズン的にピークを過
               ぎた印象であったが、浦幌野鳥倶楽部・久保事務局長に聞くと、今秋のオ
               オヒシクイは、大きな群れを作らず方々に散在しているのが特徴で、数その
               ものは少なくないとのことであった。

                 しかし、豊頃町幌岡地区では二日間の観察で確認出来たオオヒシクイは
               僅かに
10羽程度に留まるなど、秋季の初めはこの地区でも多くのガンを観
               察できるが、やはり渡来数ピーク時を過ぎてしまったと感じざるを得ない。
                 仕事も忙しく、旬な時期に観察できないのは仕方がないが、やはり虚しい
               というか今回の十勝行きは、楽しみにしていただけに悔しい。

                 この度の鳥見条件は、一日目は天気予報に反し午後2時頃まで降雨。
               早速、浦幌町で恥ずかしながら傘と長靴を急遽、購入するはめになるが、
               意地の悪いことにそれ以降は好天となり、何のために買い求めたものか、
               意味がなくなる。
               二日目は風速6〜7
mクラスの強風でプロミナーが小刻みにゆれるため、
               フードを外し、写真も500mm望遠レンズがこれまた強風でぶれる為、大き
               なフードをこれまた外すなど、風対策に諸々工夫をし、観察するには幸い
               条件が重なった。

                今回のオオヒシクイは、確認した総数、約2,000羽程度。マガンは殆ど確
               認できずに約
100羽程度。そして、希少種ではハクガン4羽を確認出来たも
               ののお目当てのヒシクイ、オオヒシクイ標識鳥は、前回より大幅に少なく僅
               かに4羽に留まり、9月24日
に確認した個体は一つもなかつた。
                採食状況は、ガンたちが目当てとするトウキビ畑には結構な数が確認出
               来たが、大方の畑がきれいに刈り取られた所が多く、今年の採食条件はけ
               して芳しいものではないと感じた。

                 また、午後、特に夕方近くになってから浦幌町上空を飛んで行くオオヒシ
               クイの群たち飛行コースは、北西方向に向かう群れが目立ち、浦幌町内、
               十勝太チャシ跡の高台、万年地区などからそれぞれ二日間にわたり確認出
               来た。
                これらは
1997年、十勝での観察を始めて5年目となるが初めての光景であ
               り、今秋、十勝のガンたちが大きな群れを作らず、点在しての採食行動をと
               っている事象を裏付けるものであり、どのような意味合いを示すのか分から
               ないが興味深いものであった。 

                例年、ガンがいなくなる1120日頃にはまだ、二週間もあるが、浦幌町共
               栄、吉野、愛牛、幌岡地区などについても鳥影は少なく前述の採食地分散と
               いうことを裏づけした結果となつた。

11月3日(土) 雨のち曇り 11001645
  ※確認した標識鳥〜K44、K54羽)
               1100〜三日月沼に到着。沼には約1,000羽のオオヒシクイが密集。
               1310〜三日月沼でのオオヒシクイ数は僅かに40羽。
               1340〜佐々木牧場前の牧草地で群れ300羽を発見。標識鳥はK44を確
                     認。

               1400〜豊北・トイトッキ沼近くの放牧地でオオヒシクイ300羽とハクガン4羽
                     を確認。

               1410〜私が近づいた性かハクガンが100m程度移動。ここでガン観察中の
                     浦幌野鳥倶楽部の野呂さんと出会い、ハクガン情報を聞くと初め
                     は3羽がいてそれにもう一羽が加わり4羽になり、この他に現在、
                     もう一羽のハクガンがおり、別行動をとっているとのこと。ここでし
                     ばらくはハクガンの観察とカメラに収める。
K54を確認。
               1505〜群れ全体が北方角へと飛び立つ。
               1530〜万年地区上空で群れが北西方角へと向かっているのを目撃。この
                     時間帯にこの方向へと飛んでいるオオヒシクイを初めて確認する。
                     一体、どこへと向かうのだろうか。そのまま万年地区に降り立つも
                     のもいるが、一部は稲穂地区方向へと飛び去る。群れが形成され
                     ている場所があるに違いないが、その場所を特定するには至らず。
                     オオヒシクイの十勝エリアは、浦幌町、大樹町、豊頃町、池田町と
                     4町にまたがるので、時間と行動範囲が広いので手間隙がかか
                     る。

               1545〜豊頃町、幌岡9号線近くのいつものトウキビ畑を確認するが、一羽
                     も確認できず。
今年は、トウキビの収穫状態がきれいに刈り上げら
                     れており、これだとガンが来て採食する環境が整っておらずで、居
                     ない理由に納得する。

               1600〜大沼へ到着。9月24日には確認出来た沼一面に密集していたヒシ
                     と思われる水草や浮いた羽毛で真っ白く染まっていた開水面の面
                     影はなく、鳥たちもカモ数羽がいるだけで、ひっそりとしていた。ね
                     ぐらには使用しているとは思えるが、昼間にはその雰囲気はなし。

               1620〜この時間、豊頃町幌岡地区を観察するもガンの鳥影なし。春先は
                     多くのガンを見たのに残念。

               1645〜もう当りは夜の帳が下りてしまった。この日は4時30分には日没。
                     三日月沼でのねぐらとして利用しているガンの数、概算で約
1,000
                     羽。他のガンはどこをねぐらに利用しているのか。この日の観察を
                     終了。

11月4日(日) 晴れ 11001630
               ※確認した標識鳥〜49M48羽)
               1100〜三日月沼に到着。沼には約10羽のオオヒシクイしかおらず。
               1150〜この時間、幌岡地区でのガンは僅かに数羽。
               1210〜養老地区に300羽のオオヒシクイを確認。標識鳥はいない。プロミ
                     ナーで標識鳥を探すが物凄い強風でプロミナーが小刻みに揺れ、
                     風の抵抗を少しでも減らすために大きなフードを取ってみるも、殆ど
                     効果なし。これからの観察が思いやられる。

               1240〜和田牧場横の国道沿い牧草地に約1,000羽のオオヒシクイ群れ。
                     ここには9月
24日に来た時も300羽程度を確認している。強風下
                     で懸命に標識鳥を探すが、何とか
K49、M48の二羽を確認するの
                     が精一杯。また、その奥(東方向)に
500羽程度のオオヒシクイ群
                     れ中に採食中のハクガン4羽を確認。

               1305〜三日月沼、一羽もガンを確認できず。
               1310〜豊北・佐々木牧場前の牧草地に約2,000羽ものオオヒシクイ群れ
                     を発見。今、浦幌町にいる全てのオオヒシクイが集合しているか
                     のよう。この二日間で一番の見事な群れが集結。ビート収穫用
                     トラクターが近づく毎に一斉に首を上げて警戒するが、直ぐに元に
                     戻り採食を続ける。残念ながら距離が遠すぎるのと強風でプロミ
                     ナーが揺れ、標識鳥を判別不可能。多くの標識鳥が含まれ居て
                     いると思われるが仕方ない。

               1410〜豊北牧場看視舎手前の道道沿いに牧草ロールと並んで採食を
                     する
500羽の群れを発見。標識鳥を確認するには絶好のチャンス
                     と思われたが、帯広ナンバーのアマチュアカメラマンが近づき群
                     れは上空へと飛び上がってしまう。
                      野鳥に興味のない素人さんはこれだから困る。群れは朝日、生
                     剛地区に向けた北西方向へと飛び去る。いつもであれば、こんな
                     時に飛んで行くのは三日月沼と決まっていたのに、今回はいつも
                     とは違って必ず浦幌町市街地方向へと飛んでいくのが特徴的な
                     事象。

               1445〜青木牧場手前のトイトッキ沼付近牧草地で200羽の群れを発見、
                     中に赤いカラーリングをつけたオオヒシクイを見つけるが、リング
                     の文字部分がはげて確認できず。三文字中、K○
8を見つけるが
                     真ん中の数字が未確認。しかし、一文字目のKも自信がない。
                     気温がどんどん下がって行く強風下でプロミナーが揺れ動く中で
                     延々と1時間も観察を続けたが結果的には判読できず。

               1500〜三日月沼を確認するがガンの姿はなし。カワアイサ、キンクロハ
                     ジロなどのカモ
が約20羽。
               1600〜今日も、万年上空をオオヒシクイが410羽の小さな群れとなり、
                     北西方向へと
飛んで行く。一体どこへと飛んで行くのか。
               1615〜相変わらず三日月沼には一羽もオオヒシクイを確認できず。
               162550羽が東方向から飛来し三日月沼に着水。これから沢山のガン
                     たちがねぐらとして飛来してくるのか?。最後に小さなオオヒシク
                     イ群れを見たのをお土産に帰路に付く。