2003(平成15年)・春


大雪原に戸惑うヒシクイたち



 
例年より雪解けが遅い十勝地方の春は、オオヒシクイたちが採食場所の確保に一苦労
 

 
雪原で少ない餌を求めて採食するヒシクイたち


 僅かな融雪地を見つけては採食するオオヒシクイ


 珍しいオオハクチョウとオオヒシクイとの混合採食。それだけ採食地が他に少ないという証


 広大な牧草地に点在するマガン、オオヒシクイ。いかにも十勝らしいガンの光景
 





2003年3月23日 晴れ 10:15〜15:30

 今年初めての十勝行きで朝8時に静内町を出発、170帰路km先の浦幌町を目指す。途中
の広尾町、大樹町までは積雪量が多く、浦幌町での採食環境を心配したが、十勝川に近づく
辺りから残雪量が段々と少なくなってきて、一安心。

 予定より少し早くの午前10時15分、十勝川河口橋を越えて三日月沼に到着。予想通り、
沼はまだ結氷状態で、ガン類を含め野鳥の姿はなく、あたり一面ひっそりと静まり返り雪景
色。

 今年は降雪が多かったのか、或いはまた、寒さの性なのか雪解けが遅く、どこへいっても辺
りは白一色の雪景色で、こんなに融雪が遅いシーズンは見たこともなく驚く。
肝心のガン類の
数はマガン約300羽、オオヒシクイも600羽〜700羽程度で、浦幌町には計1,000
羽程度のガン類を数えるに留まった。

 採食地は浦幌町内では豊北地区のみで、その他の地域や豊頃町でも大沼は結氷状態であるな
ど、マガン、ヒシクイ等の鳥影を見ることはなく、鳴き声、姿も皆無であった。

  結局、この時期、オオヒシクイ標識鳥が僅か三羽であることに象徴されるように、十勝地方
ではまだガン類の渡りは時期早尚なのかと思いながらも、後日、色々と調べてみると自分が確
認出来たのがたまたま少なかっただけで、他の場所にオオヒシクイ3,000羽を含め多数が
採食していたようで、中にはハクガン6羽、ヒメシジュウカラガン、シジュウカラガンも各一
羽いたようであり、そこそこのガンたちが既に渡って来ていることが判明した。

  24日、浦幌野鳥倶楽部の久保事務局長に聞くと、23日は朝日地区にマガン群れ、いつも
の養老地区にハクガン、原生花園方向にヒメシジュウカラガン、シジュウカラガンが採食して
いたとのこと。当日、気がつかなくて残念。4月下旬までにはもう一度、あのオオヒシクイの
パフォーマンスと野太い声を聞きに出かけたい。

※観察地〜浦幌町全域、豊頃町全域
※標識鳥〜A35、K19、K21
※希少種〜なし

10:15〜三日月沼は全面結氷しており、沼にはガンの姿はないが、周辺の牧草地の融雪箇
      所でオオヒシクイ及びマガン約 100羽が採食。その中にA35(AW5に見え
      たが)、K21のオオヒシクイ標識鳥を二羽確認。特にA35は赤地に白文字で
      あるが脱色がはなはだしく識別には困難を極めたが、距離が近かったために何と
      か判読可能となったが真ん中の文字3はは少々、自信がない。
11:05〜十勝川に程近いラッコ川周辺の大豆畑でオオヒシクイ群れ約100羽を発見。
      半年振りに聞くオオヒシクイの野太い鳴き声、地上と平行して首を突き出す独特
      のパフォーマンス。懐かしいとうか、実に魅力的というか、これがオオヒシクイ
      の魅力なのだ。その中に本日3羽目のオオヒシクイ標識鳥K19を確認。しかし、
      標識鳥を確認するのはこれが最後で、以後は確認できず。
11:50〜豊北地区、田所牧場、高木牧場向いの下頃辺川沿いにマガン、オオヒシクイが約
      300羽、採食をしているのを確認。この地域だけをブブブ…と、野太い声を発
      し、上空を絶えずオオヒシクイが飛び交う。
周辺は広々と平野部が続き、定型的
      な十勝の風景が続く。

13:00〜豊頃町のいつものトウキビ畑も一面、雪景色でガンがいる雰囲気にあらず。
13:20〜豊頃町、大沼も全面結氷しており、沼明けも時間がかかりそうなロケーションと
      なっている。

14:00〜田所牧場、高木牧場向いの下頃辺川沿いにマガン約300羽の他、オオハクチョ
      ウ数十羽も姿を現し、融雪が進んでいる所を選んで採食している。

14:40〜三日月沼に来て見ると午前中に居たマガン、オオヒシクイは何処かへ移動してお
      り、姿はない。

15:00〜豊北地区ラッコ川周辺の大豆畑で、カウンターが変えるとオオヒシクイ412羽、
      その中にA35、K21を確認する。気温も上がりこの時間で15度と暖かい。

15:30〜確認するオオヒシクイが少ないため、静内町へと家路に向かう。