巣立ち間もないエゾフクロウの親子
新ひだか町静内でこれまでに観察(記録)された野鳥の種類
は、約200 種を数えます。留鳥、夏鳥、冬鳥、旅鳥、迷鳥、陸鳥(野
の鳥、森の鳥、山地の鳥)、水鳥(川の鳥、海の鳥、池・湖沼の鳥)
など、豊かな自然と温暖な気候が数多くの野鳥たちとの出会いを導いて
くれます。
【鳥 相】
川(静内川)、海(太平洋)、山(日高山脈)、野(新ひだか町静内・平野部)という周辺の自然
環境に恵まれ、尚且つ、北海道の湘南と言われる温暖な気候に恵まれた新ひだか町静内は、
周年を通じ留鳥、夏鳥、冬鳥、旅鳥と豊富な種類、数が確認されている。
特に近年、地球温暖化現象に起因し天然記念物・マガンの北海道越冬地として全国的に注
目されるようになつた。
マガンは、年により多少その数が変化しているものの1995年より連続して越冬を続け、20
00年にはマガン63羽の他、シジュウカラガン4羽、ハクガン1羽の計68羽が93日間にわた
り越冬した。
また、1998年にはロシア・エカルマ島で放鳥した33羽のシジュウカラガンの内、標識鳥06
9がこの年全国で4羽のシジュウカラガンの内の1羽として新ひだか町静内で越冬するなど、
最近は雁に関する事例と話題には事欠かない。
数少ないショウドウツバメの繁殖地、そして、オオワシ、オジロワシの道南の代表的な越冬地、
時折、観察されるシロフクロウ、シマフクロウ、コウノトリなど、野鳥の宝庫としてその魅力ある
フィールドは興味が尽きない。
以下、代表的なフィールド・スポットを紹介する。
【町内鳥獣保護区】
名 称 | 真 歌 | 新冠種畜牧場 | 春 別 |
所在地 | 新ひだか町静内真歌 | 新ひだか町静内御園 | 新ひだか町静内高見 |
位 置 | 市街地に隣接 市街地から12km | 市街地から30km | (日高山脈山麓) |
存続期間 | 昭和60年10月1日〜 平成16年9月30日 | 昭和58年3月31日〜 平成14年3月30日 | 昭和59年10月1日〜 平成15年9月30日 |
面 積 | 516ha | 1713ha | 2322ha |
備 考 | 第1回目の指定は、 昭和40年10月1日〜 60年9月30日まで | 昭和63年9月19日付 で、北大農学部実験 | 農場敷地を追加指定 国有林敷地内 |
●真歌公園
○標高80mの小高い丘陵が真歌山で、南は太平洋、西は静内川に面している。丘上はサ
ラブレッドの牧場が続いており、草地が多い。
○見どころは周年群れをなすトビ、冬期間に雄姿を見せるオオワシとオジロワシ。夏鳥では
毎年6月、繁殖のためにやって来るショウドウツバメやウグイスをはじめとする、野鳥の数
と種類の豊富さ。
○観察できる主な野鳥
●夏鳥〜ヒバリ、カッコウ、ウグイス、ムクドリ、コムクドリ、アオジ、ノビタキ、アオバト、モ
ズ、アオバズク、コヨシキリ、ショウドウツバメ
●冬鳥〜コウライキジ、ベニマシコ、ヤマゲラ、アトリ、イカル、エゾライチョウ、キレンジャク、
ウソ、オオワシ、オジロワシ、
●留鳥〜クマタカ、クマゲラ、アカゲラ、コゲラ、ヒヨドリ、ミヤマカケ、シマエナガ、シジュウ
カラ、ゴジュウカラ、スズメ、トビ、ハシブトガラス、ハシボソガラス
●珍鳥〜シロフクロウ(H3.11)、
●うぐいすの森
○真歌公園に隣接し、西は静内川に面している。広葉樹林がよく茂った森は、昭和59年、保
健保安林の指定を受け、散策路、展望台なども整備され、3.7km の遊歩道は、バ−ドウオ
ッチングには、最適な場所。
○見どころは、その名の通りウグイスやエゾムシクイ、ノビタキなどの、ヒタキ科、キ セキレイ、
ハクセキレイなどのセキレイ科が多い。また冬期間、止まり木としての大木が多い事から、
よくその雄姿を見ることができるオオワシとオジロワシそしてクマタカのワシ・タカ類。
○観察できる主な野鳥
●夏鳥〜ウグイス、エゾムシクイ、センダイムシクイ、エゾセンニュウ、カッコウ、キセキレイ、
ハクセキレイ、セグロセキレイ、カワラヒワ、モズ、コヨシキリ、オオヨシキリ
●冬鳥〜オオワシ、オジロワシ、アトリ、コチョウゲンボウ、ウソ、ベニマシコ、イカル、シメ、
コウライキジ、マヒワ、
●留鳥〜クマタカ、オオワシ、オジロワシ、セグロセキレイ、アカゲラ、コゲラ、ヒヨドリ、ミヤ
マカケス、シジュウカラ、ゴジュウカラ、ヤマガラ、トビ、シマエナガ、スズメ、ハシ
ブトガラス、ハシボソガラス、
●静内川
○日高支庁管内の河川の内、冬期間に結氷しないのは静内川だけで、静内川だけが結氷
しないのは、伏流水が河口付近に沸くために、水温が下がらないからとされているが、近
年、地球温暖化現象の影響でここ10年位は河川流域の全てが凍ることはない。
○この自然の恵みは、越冬する多くの冬鳥たちが恩恵を受けており、中でも、オジロワシ、
オオワシのワシ類はサケなどの魚類が主食であり、河川が結氷しないため、餌の確保
が可能となり、十数羽が静内川河口で越冬する。
○天然の大きな湖沼がない静内では、マガンの越冬には結氷しない静内川は唯一のねぐ
らとなっており、この要素があってこそ静内でのマガン越冬は可能となる。
●留鳥〜◎トビ、ハシブトガラス、ハシボソガラス。また、オオセグロカモメ、セグロカモメ、
ウミネコのカモメ類が周年を通じて観察できるのは、静内川河口の魚類が豊富
な数にある事による。
○カワウ、ウミウ、スズメ、ハクセキレイ、
●夏鳥〜◎一番手は3月中旬には顔を見せるヒバリ。アオサギとセキレイ類が多い。セキ
レイは上流・キセキレイ、中流・セグロセキレイ、下流・ハクセキレイと住み分け
ができている。
○コチドリ、カワセミ、ツバメ、ショウドウツバメ、コサギ、コヨシキリ、オオヨシキリ、
カワラヒワ、バン、オオジシギ、オシドリ、
●冬鳥〜◎冬鳥の代表は、平成7年12月より越冬を始めたマガン。そして平成元年〜9年
の9年間静内川で越冬したアメリカコハクチョウ。オオハクチョウ、そして、道東
以南、最大級の越冬数(多い時で約50羽)を誇るオジロワシ、オオワシのワシ
・タカ類。
カモ類については、マガモ、コガモが多く、マガモは一部が繁殖している。しか
し、近年は多いときには数百羽いたマガモ、コガモが最近では激減している。
カワアイサ、ウミアイサも数多く生息する。
○ユリカモメ、カモメ、シロカモメ、ミツユビカモメ、ヒドリガモ、オナガガモ、ホオジロ
ガモ、
●旅鳥〜◎数はそう多くはないが、春より秋の方数多くのシギ・チドリが顔を見せる。
○アオアシシギ、アカアシシギ、ソリハシシギ、ハマシギ、トウネン、ダイシャクシギ、
●珍鳥〜◎時には、次の野鳥たちも顔を見せてくれる。
○コウノトリ、タゲリ、ビロードキンクロ、セイタカシギ、アカエリヒレアシシギ、シロフ
クロウ、ハヤブサ、シジュウカラガン、ヒシクイ、
●静内川河口域
○河川の護岸工事が行われ、白鳥の広場が完成するなど、河口付近の整備がなされた。
冬期間、河口はほとんど凍らないため、水鳥たちの楽園となり、とくに、ハクチョウの渡来数
が道内の河川では一番多く、年々、その数も増えている。
○見どころは、種類の多い冬季のガン・カモ類と、昭和62年から連続して渡来してきている珍
客アメリカコハクチョウ。そして早朝には必ず中州で一休みするオオワシ、オジロワシの雄
姿。町民との素晴らしい信頼関係の上に成り立っている、ハクチョウ達とのふれあい(給餌)
と多い。
○観察できる主な野鳥
●夏鳥〜アオサギ、ダイザキ、チュウサギ、コサギ、カワセミ、バン、オオヨシキリ、コチドリ、
キセキレイ、ツバメ、コヨシキリ、カワラヒワ、
●冬鳥〜オオハクチョウ、コハクチョウ、マガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ヨシガモ、
ウミアイサ、カワアイサ、カモメ、シロカモメ、ユリカモメ、ツグミ、ハイイロチュウヒ、
オジロワシ、
オオワシ、ミツユビカモメ、ビロードキンクロ、
●留鳥〜トビ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ハシブトガラス、ハシフボソガラス、オオセグロ
カモメ、
●珍鳥〜アメリカコハクチョウ(S63.11〜連続飛来)、セイタカシギ、ヒシクイ、マガン、シジ
ュウカラガン、
●二十間道路
○約一万本といわれる桜並木の大半はエゾヤマザクラで、残りはミヤマザクラ、カスミザクラ
など。また、ヨ−ロッパトウヒを中心とした針葉樹も数が多い。
○見どころは、周年を問わず生息しているクマゲラ、アカゲラ、オオアカゲラ、ヤマゲラ、ゴジュ
ウカラなどのゲラ類で、運がよけれぱクマゲラの姿を見ることができる。
また、桜の花が開化後のサクランボに群がるアオバト、コムクドリなどの大群は壮観なもの
がある。
○珍しいのは、ハルニレの巨木に営巣するエゾフクロウと桜並木に営巣するエゾモモンガで、
愛鳥家の人気スポットとなっている。
○観察できる主な野鳥
●夏鳥〜カワラヒワ、ムクドリ、コムクドリ、アオバト、オオジシギ、チゴハヤブサ、キビタキ、
ノビタキ、ニュウナイスズメ、カッコウ、モズ、カワセミ、アカショウビン、アオサギ、
カワラヒワ、メジロ、キビタキ、オオルリ
●冬鳥〜ホシガラス、ツグミ、イスカ、キレンジャク、ノスリ、コウライキジ、
●留鳥〜クマゲラ、、アカゲラ、オオアカゲラ、コゲラ、ヤマゲラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、
エナガ、ヒヨドリ、ミヤマカケス、トビ、スズメ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、エゾ
フクロウ、エゾモモンガ
●珍鳥〜クマゲラ(H4.3〜7月営巣発見、7月に巣立ち)
●豊畑川
○静内川支流の川。上流の川であるため、水質が良く、透明度が高い。静内川との合流点は、
田原地区。
○見どころは、近くにサケ・マスの孵化場があり、川がせき止められることによりサケの産卵
後の死体が豊富であるため、それ目当てに集まる11月〜12月頃までのオオワシ、オジロ
ワシ。また、上流のカワガラスと静内川の合流点近くのカワセミ、オシドリも見逃せない。
○観察できる主な野鳥
●夏鳥〜オシドリ、カワセミ、オオジシギ、コチドリ、モズ、キジバト、イソシギ、ヒバリ、ウグイ
ス、ノビタキ、ムクドリ、キセキレイ、クマタカ
●冬鳥〜オオワシ、オジロワシ、コチョウゲンボウ、マガモ、コガモ、オオハクチョウ
●留鳥〜カワガラス、トビ、スズメ、
●静内海岸
○太平洋岸には、周年、カモメ類が多く生息している。冬期間には、魚や貝類が多いのか良
く見ることができる。また、のシノリガモ、クロガモなども数が゛多く、よく観察出来る。
○見どころは、いつでも見ることができるトビとカモ類。点在する岩の上で羽を広げているウミ
ウ。冬のカモ類と、渡りで海上を集団で飛んでいくハクチョウの編隊は圧巻。また、入船海
岸ではオジロワシの姿を良く見かける。
○観察できる主な野鳥
●夏鳥〜オオセグロカモメ、アオバト、アオサギ、
●冬鳥〜オジロワシ、カモメ、ワシカモメ、ユリカモメ、クロガモ、シノリガモ、セグロカモメ、
ノスリ、コクガン
●留鳥〜トビ、ウミウ、ハクセキレイ、ウミネコ、アオサギ、
●高見(西の沢・東の沢)
○静内川上流の一つ春別川上流に位置し、フィールドの分類からすると、低山にあたり春別
川が平行して林道が走る。針葉樹もあるが大部分は広葉樹林。
○見どころは、豊かな自然に恵まれているため、数多くの山野の野鳥が観察でできる。ヒタ
キ科やゲラ類、カラ類の種類が豊富。
○非公式ながらシマフクロウも何度か確認されている。
○観察できる主な野鳥。
●夏鳥〜ミソサザイ、ベニマシコ、ルリビタキ、モズ、トラツグミ、キセキレイ、オオルリ、キビ
タキ、イワツバメ、ウグイス、コマドリ
●冬鳥〜ヒヨドリ、ミヤマホウジロ、
●留鳥〜コゲラ、コアカゲラ、アカゲラ、オオアカゲラ、ヤマゲラ、シジュウカラ、ヒガラ、キク
イタダキ、ハシブトガラス、イカル、キバシリ、ヤマガラ、ハシブトガラ、コガラ、ゴジ
ュウカラ、カケス、エゾライチョウ、ヤマゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、カワ
ガラス、エナガ、
●珍鳥〜オジロビタキ(H4.11)、シマフクロウ