【新聞報道から】 bP






   東京新聞 (1997.12.4

   渡り鳥温暖化の危機告げる
 
   「冬の渡り鳥・マガンの数が一部の越冬地で1980年代後半から急増し、
 越冬地自体も北上する傾向にあるなど、生態に大きな変化が起きていること
 が3日、温暖化防止京都会議の会場で開かれた自然保護団体のイベントで
 発表された。越冬地や繁殖地の北極圏の平均気温が上昇していることが原
 因とみられ、温暖化の影響を示すデータとして注目される」

  この星に生きる
  このイベントは「日本野鳥の会」と、各国の野鳥の会で作るバードライフ・インターナ
 ショナルなどが主催。各地の研究者が集めたデータを基に、温暖化が野生動物に与
 えている影響をまとめ発表した。国内からは「日本雁を保護する会」(呉地正行会長)
 の調査結果が報告された。


  それによると、越冬地の北限とされる宮城県北部の伊豆沼で越冬するマガンの数
 は、70年代は3千〜4千羽台だった。ところが、85年冬に1万羽を超えた頃から増
 加に拍車がかかり、90年代以降は2万〜3万羽。
1996年からは5万羽前後にまで
 増えた。

  呉地会長は『マガンは71年に狩猟が禁止され、増えるのは予想できたが、最近の
 増え方はそれだけでは説明できない』という。原因として考えられるのが、温暖化。
 『マガンが繁殖する北極圏は平均気温の上昇が大きい。営巣や餌の確保が容易に
 なっているので繁殖数が増え、飛来する数も増えているのでは』と分析する。

  越冬地も北上している。伊豆沼より北にあり、これまで中継地だった秋田県の小友
 沼(おともぬま)では、90年代以降、マガンが越冬するようになり、95年からは北海
 道静内町でも越冬が確認された。

  呉地会長は『マガンは環境の変化に敏感な鳥で、人間の未来を予兆しているようだ。
 人類はこの予兆をきちんと受け止め、何をすべきか真剣に考えるべきだ』と話す。




   【新聞報道から】 bQ


   


   読売新聞 (1997.12.3

   渡り鳥 越冬地の北限に変化

   気候の温暖化が影響していると見られる渡りの異常や、生息数の減少など、野鳥
 の生態の変化が世界各地で起きているとして、「日本野鳥の会」と英国の「バードライ
 フ・インターナショナル」が3日午後、地球温暖化防止京都会議の会場で開かれるワ
 ークショップで報告を行い、議定書には「生物の多様性を守る視点」も盛り込むよう参
 加国に訴える。

   同会などによると、秋に北極圏から日本へ南下するマガン越冬地の北限は、宮城
 県・伊豆沼とされていたが、1990年代に入って北上。これまでは渡りの中継地だっ
 た秋田県・小友沼が越冬地に変わり、北海道・静内地方でも冬を越すのが確認され
 るようになった。

  また、米カリフォルニアでは、観測された海鳥のミズナギドリが、87年から94年まで
 に90
%減少した。海水温が40年間で0.8度上昇し、動物プランクトンの密度が70%
 減少しており、餌の欠乏が移動の原因とみられている。

   英国では、過去25年間で野鳥65種中20種の産卵日が早まった。ワークショップ
 に参加する英国野鳥の会のバーナビー・フリックスさん
(34)は「生態系が変わると、既
 存の食物連鎖が崩れ、絶滅の危機にひんする生物種も多数出る」と警告している。